風鈴リンリズム

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母から届いた荷物の中に風鈴があった。これは数年前亡くなった伯母のものだ。
今は風鈴も音がうるさいからと近隣からクレームがくるらしいので、外には飾れない。なのでカーテンレールの端っこに飾っておいた。
ボストンテリアのリンの為に、夏はエアコンフル稼働だ。窓を開けるのは換気の時だけなので、音で近隣の迷惑になることもないだろう。
その晩、ちりんちりん、という音で目が覚めた。
「何?」
リビングに行くと風鈴が風もないのに揺れていて、リンが嬉しそうに飛び回っている。私にはリンがリズムを取って踊っているように見えた。
思い出した。お兄ちゃんも引っ越しの荷物に伯母の扇風機が入っていたと聞いた。
私には風鈴。伯母さんリンを可愛がってくれてたもんね。リンには風鈴の音が伯母さんの声に聞こえるのかも。

次の日、窓が壊れて閉まらなくなった。風が吹いて風鈴の音が鳴る。
全く。伯母さんは本当に、おせっかいなんだから。
その他
公開:20/02/01 16:02

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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