つばさの行方

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「私、天使なの」
その告白に僕は言葉を失った。彼女はとても真面目で冗談を言うような人ではない。
それにその表情は真剣そのもの。だからこそ僕はどう反応していいか分からなかった。
彼女の背後にひらりひらりと羽が集まってきた。それは彼女の背中で固まると大きな翼となった。
「ごめんね…さよなら…」
彼女はそう言うと翼をはためかせ空に飛んで…行かなかった。
「あれ?どうして?」
困惑する彼女。翼だけはゆっくりと大空へと飛んでいく。
僕は彼女の背中に1枚の紙が貼られていることに気付いた。
『我々、天使の羽は貴方のキューピット過重労働についていけなくなりました。お暇を頂きます』
彼女はその紙を見て、涙した。
どうしていいか分からない僕に近くにいた羽が囁いた。
『仕事しか知らない彼女に愛を教えてやってくれ』
僕は彼女を慰め、一緒に暮らそうと提案した。
今日も翼は雲に紛れ、僕と彼女と子供達を見守っている。
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公開:20/02/02 18:33

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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