埴輪

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私がまだ3歳頃のお話をしましょう。
床の間には達磨の掛け軸があり、横の飾り棚にはガラスの人形ケースが置かれ中には埴輪が入っていた。

ある時私が高熱を出し惹きつけて震えが止まらないため、医師が来診したが原因は良く分から無かった。
この時は母親と一緒の寝室ではなく、床の間に一人寝かされていた。
母は寝ずの看病で、タオルを濡らし私の額に置きながら何やらお経を唱えていた。

真夜中に突然私が「埴輪が動いている」と言い出し、母は父や祖母を起こし皆が心配顔で私を覗き込みながら、高熱で幻覚を見ていると言った。

その内に私がオシッコをしたいと言い出し、家の厠は離れた所に在るため外庭にすることになった。
月明かりに中に「誰か人が居る、ヤツデの葉っぱを切っている」と私は怯えた。

その時雷鳴と稲妻が走り大雨となった。その後私はぐっすり眠りだし翌朝には治っていた。埴輪も元のケースに戻り動かなかった。
ミステリー・推理
公開:20/02/02 11:12

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