心はロケット

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「今月で御社との取引は終わりかも」
と営業Aは大手取引先から言われ、冷や汗が止まらない。
接待で挽回だ。最初の危機はゴルフセット。次はゴルフ会員権。次はプロとのラウンドを贈って乗り越えてきた。今回は奥の手だ。その為にAはタイムシェアしてきた。
営業でヘコんだ時、ヘコむ時間を他人に貸した。無茶なノルマに怒った時、怒る時間を他人に貸した。そんな積み重ねで、ようやく一人を、二年先へ時間旅行させられる時間がたまっていた。取引先も喜んだ。時間を贈られたのだ。
が、帰ってきて一言。
「最悪。未来なんて見なきゃ良かった」
切り札が裏目に出た。Aの心と体が凍る。そこへ取引先が
「取引は、続ける。あと、うちの競合も、紹介していいか?」
え?いいんですか?未来で何を見たのだろう。分からないが棚からボタ餅だ。Aの心はロケットで宇宙に飛び上がった。取引において予想は、まるで無重力状態。コントロールが効かない。
その他
公開:20/02/02 10:49
更新:20/02/02 15:48
スクー 無重力予想図

久保田 人月

ショートショートガーデン二年生です。よろしくお願いします。

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