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ブレンド――調合。難しい単語でもないのに、胸騒ぎがする。香月さんは変わらず俺を見てる。
「お前の鼻に気付いて、実は期待した。お前も同類かもって。その上で普通に育ったって事は、お前自身が特効薬になり得るんじゃねぇかって。……卑怯だから吐いちまうけど、無断でサンプル採取して実験した」
卑怯なんて思わない。俺で良いなら全部やる。
「お前が薬なら簡単だ。結婚して一緒に暮らせばいい。法律上問題ねぇし、結婚しなくたって」
「やめて下さい。それ以上は」
「イヌスケだって男だろ。未熟でもメスだし、多分子供も産める。それくらい、協力の見返りに……お前が、そういう『運命』なら」
――でも、違ったんすね、香月さん。
「中和滴定だ。死臭を毎日浴びて、少しずつ濃度を上げる。オレの匂いが中和されて完全に消えるまで。オレ自身じゃ判定出来ない。だからお前に頼みたい」
さっきみたいに、嫌だって拒めたら。
「はい、香月さん」
「お前の鼻に気付いて、実は期待した。お前も同類かもって。その上で普通に育ったって事は、お前自身が特効薬になり得るんじゃねぇかって。……卑怯だから吐いちまうけど、無断でサンプル採取して実験した」
卑怯なんて思わない。俺で良いなら全部やる。
「お前が薬なら簡単だ。結婚して一緒に暮らせばいい。法律上問題ねぇし、結婚しなくたって」
「やめて下さい。それ以上は」
「イヌスケだって男だろ。未熟でもメスだし、多分子供も産める。それくらい、協力の見返りに……お前が、そういう『運命』なら」
――でも、違ったんすね、香月さん。
「中和滴定だ。死臭を毎日浴びて、少しずつ濃度を上げる。オレの匂いが中和されて完全に消えるまで。オレ自身じゃ判定出来ない。だからお前に頼みたい」
さっきみたいに、嫌だって拒めたら。
「はい、香月さん」
ファンタジー
公開:20/02/01 23:55
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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