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抱き上げた身体は、ほんのり海の匂いがした。
いつもと違う――違和感。この感じ前もあった、死臭の香料ん時。生きてるのに死んでるみたいな、香月さんであって香月さんでない感じ。
香月さんの中から海の匂いが広がって、塗り潰してく。
ぬるっ、と感触。――血?そうかこれ、血だ。理解してそこで見た。
真っ赤だった。腹から浴衣の裾まで、ぐっしょり湿って――
かちかち歯が鳴ってる。足が崩れそう、また過呼吸で倒れそう、駄目だ落っことす、まだ駄目、香月さん。救急車、止血?応急処置?判らないどうしよう、俺、おれ――
「……おろせ、ボケスケ」
「かつ、きさ…………?」
「あ~、くっっ…そ、いてぇ……!」
腹押さえて痛がってる、のは判る。でも。
ちょっっと待て。これ、これひょっとして。
「イヌスケ、車」
「一大事っすよ救急車!」
「アホか、こんなもんで呼べるか……!」
結局俺が崩壊した為、香月さんが119番した。
いつもと違う――違和感。この感じ前もあった、死臭の香料ん時。生きてるのに死んでるみたいな、香月さんであって香月さんでない感じ。
香月さんの中から海の匂いが広がって、塗り潰してく。
ぬるっ、と感触。――血?そうかこれ、血だ。理解してそこで見た。
真っ赤だった。腹から浴衣の裾まで、ぐっしょり湿って――
かちかち歯が鳴ってる。足が崩れそう、また過呼吸で倒れそう、駄目だ落っことす、まだ駄目、香月さん。救急車、止血?応急処置?判らないどうしよう、俺、おれ――
「……おろせ、ボケスケ」
「かつ、きさ…………?」
「あ~、くっっ…そ、いてぇ……!」
腹押さえて痛がってる、のは判る。でも。
ちょっっと待て。これ、これひょっとして。
「イヌスケ、車」
「一大事っすよ救急車!」
「アホか、こんなもんで呼べるか……!」
結局俺が崩壊した為、香月さんが119番した。
ファンタジー
公開:20/02/01 00:27
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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