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泣くな。言い聞かせても溢れる。
――泣くな俺、香月さんが泣いてねぇのに。
「フランス渡って修行して、認められて一人立ちして、探して、探して、探し続けても見付からねぇ。どうやったら呪いを断ち切って、ちゃんと死ねるか」
「かつ……」
「良いよなぁ、羨ましいよ。普通誰でも持ってる権利が、何でオレは無ぇの?大人んなって、結婚して子供作って、年取って普通に死ねる。なぁイヌスケ、それってそんな高望み?一個も許されねぇ程、オレ何か悪い事した?香澄にも、お前にだって許されて、何でオレだけ!」
体当たり食らって、布団に倒された。
「判んねぇんだよ、この身体がいつどうなるか!十年、二十年、一生このまんまかそれとも永久か、じゃなきゃ明日にでも死んじまうか!それがどんだけ怖いか、お前なんかに判んねぇよ!……こんな匂い、全身引っぺがして消してぇよ!!」
抱き締めた悲鳴も、体温も、心臓の鼓動さえ匂ってるみたいだった。
――泣くな俺、香月さんが泣いてねぇのに。
「フランス渡って修行して、認められて一人立ちして、探して、探して、探し続けても見付からねぇ。どうやったら呪いを断ち切って、ちゃんと死ねるか」
「かつ……」
「良いよなぁ、羨ましいよ。普通誰でも持ってる権利が、何でオレは無ぇの?大人んなって、結婚して子供作って、年取って普通に死ねる。なぁイヌスケ、それってそんな高望み?一個も許されねぇ程、オレ何か悪い事した?香澄にも、お前にだって許されて、何でオレだけ!」
体当たり食らって、布団に倒された。
「判んねぇんだよ、この身体がいつどうなるか!十年、二十年、一生このまんまかそれとも永久か、じゃなきゃ明日にでも死んじまうか!それがどんだけ怖いか、お前なんかに判んねぇよ!……こんな匂い、全身引っぺがして消してぇよ!!」
抱き締めた悲鳴も、体温も、心臓の鼓動さえ匂ってるみたいだった。
ファンタジー
公開:20/01/31 21:36
ハートノート:
ミドルノートに同じ。
香水の調合で軸になる香り
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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