紡香師(ほうこうし)弐拾陸~体臭

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ここ最近、頭ん中はハテナが氾濫してる。
『寝ぼけてんのか。オレが香料使うわけねぇだろ』
香月さんは香料を使わない。最初理解出来なかった。
冷静に考えてみれば、自分が匂い付けてたら、創香や調香に狂いが出かねない。データに基づいて合成するにしても、最終確認は香月さん自身。普段から食事にも気を遣う人が、それくらい注意しないわけない。
でもだとしたら、俺が嗅いでる匂いは何だ。最初にすれ違って、追っ掛けて辿り着いた。いつも香月さんと一緒にある匂い。
香月さんが嘘ついてるとしたら――って、何の為にだよ。
謎が多過ぎて疑心暗鬼になってる。

「上の空ねぇ、イヌスケ君?」
「え、……っあ、すいません香澄さん!」
しまった仕事中。届け物(例のフェロモン香水)に来て、俺ってば……。
「香月と何かあった?」
「いえ……その、何て言うか」
ええい訊いてしまえ、お姉さんだ。
「体臭の話なんです!」
首を傾げられた。
ファンタジー
公開:20/01/30 17:20

創樹( 富山 )

創樹(もとき)と申します。
前職は花屋。現在は葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書き(もどき)をしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.12執筆参加
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。

【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞。2022年6月アンソロジー出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞受賞

いつも本当にありがとうございます!

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