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「長い話になりそうだから、泊まってけ」
そう言われて、初めて香月さんの部屋に入った。『紡香堂』の二階は自宅になってて、台所はお邪魔した事あるが、重みが全然違う。大量の香り関連の本以外、殺風景なくらい物のない部屋中、香月さんの匂い。見るのが怖くて、布団に背を向けて座った。
「その様子だと、香澄がバラしたな」
頷いた。染み付いた体身香を風呂で流し、寝室に二人きり。着物姿は慣れてても、浴衣だとどぎまぎする。やっぱ姉弟なんだな、目鼻立ちが香澄さんと似てる。意識した事なかったけど、綺麗だな。あぁもうちょい大人っぽかったら――女って知った途端これだ、俺って最低。
「ごめんなイヌスケ。香澄があぁなったの、オレのせいなんだ」
「……え?」
「普通じゃねぇって、お前にも判んだろ。童顔の範疇超えて、小学生にしか見えねぇ。……当然だよ。まだ小学生なんだから」
全身の血が、急ブレーキから逆回転始めたみたいだった。
そう言われて、初めて香月さんの部屋に入った。『紡香堂』の二階は自宅になってて、台所はお邪魔した事あるが、重みが全然違う。大量の香り関連の本以外、殺風景なくらい物のない部屋中、香月さんの匂い。見るのが怖くて、布団に背を向けて座った。
「その様子だと、香澄がバラしたな」
頷いた。染み付いた体身香を風呂で流し、寝室に二人きり。着物姿は慣れてても、浴衣だとどぎまぎする。やっぱ姉弟なんだな、目鼻立ちが香澄さんと似てる。意識した事なかったけど、綺麗だな。あぁもうちょい大人っぽかったら――女って知った途端これだ、俺って最低。
「ごめんなイヌスケ。香澄があぁなったの、オレのせいなんだ」
「……え?」
「普通じゃねぇって、お前にも判んだろ。童顔の範疇超えて、小学生にしか見えねぇ。……当然だよ。まだ小学生なんだから」
全身の血が、急ブレーキから逆回転始めたみたいだった。
ファンタジー
公開:20/01/31 10:20
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
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ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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