栞を挟んだままで
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机の奥から黄ばんだ冊子が出てきた。あ、カリカリ君の小説だ。懐かしいな。中学生の自分が手招きしている。
カリカリというのは鉛筆の音。休み時間のたび、教室の端っこから聞こえてきたんだ。
彼の書く物語は完全なフィクションではなかった。クラスメイトや先生のデフォルメが心地よく、新作は順番を待たねば読めぬほどの人気振りだった。
「タカシ君も出してやろうか」
そんな言葉を思い出す。嬉しさを隠して、つっけんどんに断った気もするが…。無理に記憶を探ると、えも言われぬ恥ずかしさも佇んでいる。
もしかして変な風に書かれたのかもな。冊子を手にとってページをめくるが、一向に僕は登場しない。おかしいなと思っていると、最後の最後でようやく出てきた。
…という結末は、完全にタカシの予想どおりだった。
手書きした、自分の拙い文字。冊子をゆっくり閉じると、あの日のタカシがホッとした顔で冊子のシミに逃げてった。
カリカリというのは鉛筆の音。休み時間のたび、教室の端っこから聞こえてきたんだ。
彼の書く物語は完全なフィクションではなかった。クラスメイトや先生のデフォルメが心地よく、新作は順番を待たねば読めぬほどの人気振りだった。
「タカシ君も出してやろうか」
そんな言葉を思い出す。嬉しさを隠して、つっけんどんに断った気もするが…。無理に記憶を探ると、えも言われぬ恥ずかしさも佇んでいる。
もしかして変な風に書かれたのかもな。冊子を手にとってページをめくるが、一向に僕は登場しない。おかしいなと思っていると、最後の最後でようやく出てきた。
…という結末は、完全にタカシの予想どおりだった。
手書きした、自分の拙い文字。冊子をゆっくり閉じると、あの日のタカシがホッとした顔で冊子のシミに逃げてった。
その他
公開:20/01/30 23:22
400字って面白いですね。もっと上手く詰め込めるよう、日々精進しております。
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