紡香師（ほうこうし）弐拾漆～テイスティング

「君のデリケートな問題は、香月に相談した方が早くない？」
あっさり切り返されて血の気が退いた。
やばい、俺今何言おうとした？
香月さんから良い匂いするんすけど、それって俺の気のせいなんすかね？
最悪じゃねぇか俺！香澄さんならまだしも、見た目小学生な三十二歳男だぞ、ゲイか変態にしか聞こえねぇよ！！
よくよく考えたら俺、そのものズバリな事本人に言った。それで防御線張られた……？
「ＨＬＡ遺伝子って判る？」
香澄さんから科学な話。
「んーと。……いいえ」
「移植で問題になる、白血球の型とか、免疫に関する遺伝子。これが別名、恋愛遺伝子って呼ばれてる」
「恋愛遺伝子？それと体臭と何の関係が？」
「ＨＬＡは体臭に出るんですって。特に女はね、体臭から遺伝子を嗅ぎ取るの。免疫の幅を増やして、強い子孫を残す為。型が遠い人の体臭程、心地良く感じる」
紅い唇を吊り上げ、香澄さんは囁いた。
「良い方法があるわ」