ドリアード(9)

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「……信じられないわ!」夏菜子は爆発した。
「なによ! なによ! どうせそういって逃げるつもりなんでしょ! 「F-ZONE」に行けば安全だもんね! 卑怯者!」
「そうだな。納得できるはずもないか、じゃあ今すぐ俺を好きにしろ」
「いいの? 本当にするわよ」
「ああ、なぶり殺すなり食らうなり好きにしてくれ。もとより地獄に落ちる覚悟はできている。育美が死んで俺ひとり生き残っても仕方ない」
夏菜子の蔓が俺の頭に入り込む。俺は観念したが、食うというよりなにかを探っている様子に困惑する。

「見つけた!」
夏菜子の言葉と同時に、俺の心が解かれ。封印していたはずの妹に関する思いが俺の中に流れ込んできた。

「ああああああ……」涙で前が見えない。
「ごめん、夏菜子、本当にごめん」

「遅いわよ。いまさら」心なしか夏菜子の声は涙ぐんでいるように聞こえた。
SF
公開:20/01/28 20:38
更新:20/01/28 23:52

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
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