客引き

7
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「ねえ、尿酸値いくつ?」
合コンの席で、彼女は僕に年齢を尋ねるようにそう聞いた。
「5.8」
「高め?」
「どうかなぁ。基準値だとは思うけど」
「すごい。覚えてるんだね」
「君なら聞いてくれると思った」
僕たちには同じアルコールのにおいがする。飲む前から。
血圧は?血糖値は?ちょっと目をみせて。ベロ出して。
「きれい」
シャツをめくって。胸の音を聴かせて。背中も。
「あったかい」
二次会は居酒屋のすぐ裏にある古びたホテルだ。診察のような夜のはじまり。
「こんなことはじめて」
「俺も」
「離れない」
「俺だって」
彼女はトイレにまでついてきて小さなコップを僕に渡した。
「外で待ってる」
次はきっと心電図なのに胸のドキドキがとまらない。
よしっ。
トイレを出ると、放射線技師のおじさんがバリウムを手に立っていた。
「続ける?」
「せっかくなんで」
激しく動くベッド。
僕は吐き気をこらえて泣いた。
公開:20/01/28 19:40

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