魔夜中の訪問者

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卒論だ。
とにかく俺が今やるべきは卒論だ。

ところがだ。誰か来た。
こんな真夜中にいったい誰だ。

俺は覗き穴を見た。
おい、子供じゃないか。
なんだってこんな時間に。
さてはいたずらでもして締め出されたか。
「助けて!」
急に子供が叫んだ。
俺は身震いした。
悪いが面倒に巻き込まれるのはごめんだ。
将来が掛かってるんだ。
俺は無視を決め込んだ。

無事、卒論は完成。
後は卒業発表を待つだけだ。
ところがだ、おかしい。
卒業者に俺の名前がない。

俺は教授に掛け合った。
「先生、どういうことですか」
「誰だね君は」
「僕ですよ、ゼミ生の!」
「知らないな」

一体どうなってる。
ふとテレビのニュースが聞こえてきた。
「孝之ちゃん失踪から今年で早十二年です」
孝之? 俺と同じ名前じゃないか。
俺はテレビを振り返ってゾッとした。
そこにはあの時の子供が映っていた。
そうか、あれはつまりー
ホラー
公開:20/01/29 19:43
更新:20/01/30 12:30

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