ドリアード(12)

8
5

育美は心臓が体外に飛び出るかと思うほどの衝撃を受けた。
ゆうと夏菜子が一緒にいるのだ。
「姉さん、今までごめんなさい。私、姉さんのこと憎かった。でもここに来る途中、兄さんにいろいろ聞いたよ。私のこと治せないかいろいろ調べてくれたんでしょ」
でもつぎの言葉はもっと衝撃的だった。
「お願い、私を、受け入れて」

そしてそのまま夏菜子は私に抱きついてきた。
いや、違う。夏菜子の体が私の中に沈んでいく。
ああ、そうか。私達はひとつになるんだ。
不思議と恐怖はなかった。いつの間にか体は羽のように軽く、春の日差しを浴びたように体中が温かい。

私の前で夏菜子は目を閉じ安らかな顔をしている。まるで人間だったころ、私になついていたころのように。
「私たち、いつまでも一緒だよ」頭の中に夏菜子の声が響いた。
すべてが終わった時、そこには育美の体だけが残された。
SF
公開:20/01/29 12:18

ばめどー

ぼちぼちやっていこうと思います。
コメントを頂けると励みになります。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容