十二支協会

17
14

十二支協会では、古(いにしえ)の時代から同じ動物たちが役員に居座り組織が硬直化していた。
十二支が一回りした二〇二〇年に幹事となった鼠理事は、十二支協会の行く末を案じていた数少ない役員だったので、水面下で組織改革に着手することにした。目的は言うまでもなく役員の新陳代謝による組織の活性化だ。
鼠理事は、十二支協会の定例総会で議題にはないサプライズな提案を準備していた。
当日の総会では、事前に知らされていた議題が形式的に淡々と処理されていき、いよいよ最後に鼠理事が行動にでた。
鼠理事は、十二支協会の役員に新しい動物たちを選任し、自らも含め全員が退いたうえでサポーターとして組織運営が軌道に乗るまで相談役に徹するという内容を提唱した。
才覚ある鼠理事の説得もあって提案は見事に了承され、新役員には、鼠との因縁から猫をはじめダイバーシティの観点から動物型アンドロイドも選ばれるという斬新なものであった。
その他
公開:20/01/27 19:47
十二支 協会 二〇二〇年 幹事 理事 役員 ダイバーシティ アンドロイド

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容