夜の散歩
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私は夜の川沿いを散歩するのが習慣だった。
いつものように300ルーメンのLEDライトを片手に歩いていると、前方に誰かが立っている。うつむき加減の顔が青白く光っているのを見て、
「ああ、スマフォでもいじっているのかな」
とは思ったが、なにぶん、時刻といい、場所といい、若い女がひとりでいるのは不自然に感じた。
「あの、すみません。電話を貸していただけませんか? どうやら壊れてしまったようで……」
と女が話しかけてきた。一瞬とまどったが、困っているならと思い私は無言でガラケーを手渡した。
そのまま振り返らず、私は先を急いだ。
そうだ、思い出した。あの女は3年前にあそこに埋めたやつだ。
しばらくすると、また女が立っている。
私は、
「あれは5ヶ月前の……」
と思いながら、またガラケーを用意した。
誰にも理解されないだろうが、これが私なりの供養の仕方なのだ。
いつものように300ルーメンのLEDライトを片手に歩いていると、前方に誰かが立っている。うつむき加減の顔が青白く光っているのを見て、
「ああ、スマフォでもいじっているのかな」
とは思ったが、なにぶん、時刻といい、場所といい、若い女がひとりでいるのは不自然に感じた。
「あの、すみません。電話を貸していただけませんか? どうやら壊れてしまったようで……」
と女が話しかけてきた。一瞬とまどったが、困っているならと思い私は無言でガラケーを手渡した。
そのまま振り返らず、私は先を急いだ。
そうだ、思い出した。あの女は3年前にあそこに埋めたやつだ。
しばらくすると、また女が立っている。
私は、
「あれは5ヶ月前の……」
と思いながら、またガラケーを用意した。
誰にも理解されないだろうが、これが私なりの供養の仕方なのだ。
ホラー
公開:20/01/27 20:00
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武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。
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