風に靡く木の下には

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柳の下には幽霊が出るって、確か君から聞いた。
たぶん、風に靡く柳の枝や葉を女性の長い髪と見間違えたのだろう。

午前二時、月の出ていない遊歩道は不気味なほど静かだった。
草木も眠るというのはこういうことだろうか。
ぼくはなかなか寝付けずに、川沿いをふらふらと散歩していた。
丑三つ時だけど、怖くなんかなかった。
今までも幽霊が出そうな場所にはたくさん訪れたし、幽霊を呼び出す方法もいくつか試してみたが、何も現れなかった。
今晩だって、念のため出かける前に合わせ鏡を見たけど何も映らなかった。
そうこうしているうちに、川沿いの柳並木も幽霊が現れることなく通り過ぎてしまった。
幽霊が出るなら絶好のタイミングなだけに、少しだけ期待していたぼくは肩を落とし、散歩を続けた。

辿り着いたのは町外れの寂れた小さな神社。
その境内には満開の大きな枝垂梅が一本。
その下で、ショートカットの君が笑った気がした。
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公開:20/01/27 11:43

TAMAUSA825( 東京と神奈川 )

登場することが趣味です。

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