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「悪かったな」
香澄さんが帰り、やっとトイレから出た俺に、珍しく香月さんが謝った。
「普段、店には顔出させねぇんだけど。一応客だし、たまに用事頼むし、……身内だし」
俺が車買って、めっきり使わなくなった車。香澄さん用だったのか。この人にも家族がいて、店以外の生活がある。当たり前な事を忘れ掛けてた。
「あの人…香澄さんの香水、普通じゃねぇっすよね」
「依頼されて作った。媚香(びこう)。要はフェロモン香水だ」
フェロモンは、俺も興味あって調べた。主に汗腺から分泌される、匂いとは違う伝達物質。嗅ぐより感じるに近くて、本能を直接揺さぶる。性フェロモンは、乱暴に言えば発情剤。
「適量を守れば好感度が上がる。商売柄、特にあいつは必要だから」
姉弟なんだな。何となく微笑ましかった。
「良いっすね、年の差姉弟」
「あ?香澄とは双子だぞ」
「……はぁ!?、え、でも」
「オレ、今年で三十二」
気が遠くなった。
香澄さんが帰り、やっとトイレから出た俺に、珍しく香月さんが謝った。
「普段、店には顔出させねぇんだけど。一応客だし、たまに用事頼むし、……身内だし」
俺が車買って、めっきり使わなくなった車。香澄さん用だったのか。この人にも家族がいて、店以外の生活がある。当たり前な事を忘れ掛けてた。
「あの人…香澄さんの香水、普通じゃねぇっすよね」
「依頼されて作った。媚香(びこう)。要はフェロモン香水だ」
フェロモンは、俺も興味あって調べた。主に汗腺から分泌される、匂いとは違う伝達物質。嗅ぐより感じるに近くて、本能を直接揺さぶる。性フェロモンは、乱暴に言えば発情剤。
「適量を守れば好感度が上がる。商売柄、特にあいつは必要だから」
姉弟なんだな。何となく微笑ましかった。
「良いっすね、年の差姉弟」
「あ?香澄とは双子だぞ」
「……はぁ!?、え、でも」
「オレ、今年で三十二」
気が遠くなった。
ファンタジー
公開:20/01/28 15:14
フェロモン香水には、
異性に香りで印象付けるものと
実際フェロモンを配合したものが
あります。本作では後者です。
通常出回るものは前者です。
創樹(もとき)と申します。
葬祭系の生花事業部に勤務の傍ら、物書きもどきをしております。
小石 創樹(こいわ もとき)名にて、AmazonでKindle書籍を出版中。ご興味をお持ちの方、よろしければ覗いてやって下さい。
https://amzn.to/32W8iRO
ベリーショートショートマガジン『ベリショーズ』
Light・Vol.6~Vol.13執筆&編集
他、note/monogatary/小説家になろう など投稿サイトに出没。
【直近の受賞歴】
第一回小鳥書房文学賞入賞 2022年6月作品集出版
愛媛新聞超ショートショートコンテスト2022 特別賞
第二回ひなた短編文学賞 双葉町長賞
いつも本当にありがとうございます!
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