風景画

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「調子はどうです」
「まあまあですね」
「あなたの絵は私のお気に入りなんです。特に、風景画が」
「ありがとうございます。でも、長い間画家をしていても、なかなか納得のいく作品が描けなくて」
「そうなんですか」
そう言うと、男は去っていった。
また私は筆を執る。
この荒れ果てた、風景を見ながら。
戦争で、すっかりこの辺りも変わってしまった。
今は、あの頃の記憶を頼りに描くしかない。
ふと眺めていると、小さな草が生えていた。
「ほお」
私はそれを、カンバスの端に添えた。
その他
公開:20/01/28 09:28

ふじのん

大学生

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