あると思うなクリエイティビティ

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Oはなんちゃって小説家だった。たまたまコンテストに応募した作品が大賞を受賞したものの、その後は1冊も本を出していない。そのくせ、人の作品には批判的だ。「ふん、これぐらいなら俺にも書ける。こいつさえいなければ書けるんだ」。ある日、Oの本棚からごっそり本がなくなっていた。どこを探しても見当たらない。「ネットで調べてみよう」。ところが、自分が持っていた本が一向にネットで見つからない。Oはあることに気づく。「もしかして、あの作家がいない世界に来てしまったのではないか」。予感は的中した。記憶力のよかったOはその作家の本をまるまる写して出版社に持ち込んだところ、あっと言う間に有名小説家になってしまった。しかし問題が起きた。しばらくはその作家の贋作で儲けていたが、ついに出し尽くしてしまったのだ。仕方がないので、オリジナルの小説を書いたがまったく売れない。結局、彼にはオリジナルを書ける実力がなかったのだ。
ファンタジー
公開:20/01/28 00:35
更新:20/01/28 00:38

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