冬至から春に至るまで

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私は『ミス冬の女王コンテスト』に出場した。現役モデルの美貌とスタイルで、準決勝まで勝ち進んだ。審査員は、世界的ファッションデザイナー『コシノハルコ』もいた。私は特技のダンスを披露して、アピールした。
「私は12月22日冬至に生まれました。今年の冬至でもあり、冬の女王にふさわしい女性だと思います」
私のスピーチが終わると、コシノハルコが言った。
「うるう年の冬至は12月21日じゃないかしら。教養がないわね」
しまった!今年はうるう年だ。
結果、私はグランプリに至らなかった。

会場を出ると、雨だった。傘を投げ捨てた。至らない私を雨で殴ってほしかったからだ。
雨が急に止んだ。コシノハルコが傘をさしかけていた。
「失敗はね、成長するためにあるの。うちにいらっしゃい」
コシノハルコは名刺を渡して去った。

私は今。パリコレのランウェイを颯爽と歩いている。
これが、私の成功に至るまでのストーリーだ。
青春
公開:20/04/07 23:17
スクー 至らない冬至

豊丸晃生( 大阪 )

ショートショートの神様、星 新一を崇拝しています。お笑い好きで怪談も好き。
お笑いネタのような作品が多いですね(笑)
【受賞作品】
「渋谷シティ」
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞受賞。
「我が家の食卓」
ベルモニーショートショートコンテスト入賞。
「電車家族」
隕石家族ショートショートコンテスト入賞。
「大男の力自慢大会」
「スカイフィッシング」
空想競技2020ショートショートコンテストW入賞。

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