語る三味線

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私は三毛子、趣味は夜の散歩よ。
街の変わり様は目まぐるしいわね、ちょっと昔は木造家屋が建ち並んで、みんな着物で、景色は今のように狭苦しくなかったわ。
私の最初の家は立派な妓楼だったの。花魁の傍らにいて、時には弾いてくれて、その時はまだ自由じゃなかったけどね。
次の家は、花街の置屋さん。舞妓さん芸妓さんが弾いてくれた、宴席は賑やかで楽しかったわ。この頃から散歩出来るようになったのよ。
今の家は普通の民家よ、誰も私を手に取らない、ただの飾りね。現代で私を弾く一般人はあまりいないのかも。
私は三毛子、誰にも弾かれぬ三味線……いわゆる付喪神よ。
その他
公開:20/04/07 19:43

癒月連理( 岩手 )

2020.3.16にこの場所を見つけて、長文を書くのが苦手な私でもショートショートなら挑戦できるかなと思い、投稿を始めました。

このショートショートガーデンで書くことの楽しさを知る事ができました。
自分なりに色々文章を模索していきたいと思います。
作品を読んで気になった事がありましたら、是非コメントをお願いします、厳しいコメントもお待ちしています。

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