トルコ人とケバブのお店

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 数年前のことだ。私の家の近くにケバブのお店ができた。店主は生粋のトルコ人で、鼻筋の高い、映画俳優のような二枚目だった。道往く人に気安く声を掛けては、どこか人を小馬鹿にしたような笑みを浮かべて、ケバブを勧めてくる。一度立ち寄ってメニューを見てみたが、日本語の説明が乏しく、写真を指して注文すると、こっちのほうが美味しいよ、などと言ってくる。よくよく尋ねてみると、要するに材料が切れているからそれしか作れないとのことだった。仕方なくこちらも妥協して、店先で待っていたのだが、なんともマイペースな手の動きで、寒い中けっこう待たされた。味は、良かった。
 数日前、久しぶりにその店に行ってみたのだが、その変貌ぶりに驚いた。例のトルコ人はすっかり腰が低くなり、メニューはちゃんと日本語の解説がついていた。手つきも素早くなって、お金を渡すと執拗なくらい何度もお礼を言ってきた。
 私には彼が日本人に見えた。
その他
公開:20/04/08 19:06
紀行文的なものを 書いてみたかったので

水素カフェ( 東京 )

 

最近は小説以外にもお絵描きやゲームシナリオの執筆など創作の幅を広げており、相対的にSS投稿が遅くなっております。…スミマセン。
あれやこれやとやりたいことが多すぎて大変です…。

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