時計のつぶやき

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「俺はこんな事をする為に生まれ来たんじゃない!」
何度も彼女を説得する。しかし彼女は俺の説得に耳を貸さない。話を聞いてくれない。
「ならせめて一人で死んでくれ!俺を巻き込まないでくれ!」
「酷い!私達は一蓮托生なのに私だけを置いていくつもり?」
彼女がヒステリックに声を上げる。
私は今、己の出自を呪っている。
何故私は時計に生まれてしまったのだ…
いや、普通の時計なら問題なかった。
私は時計は時計でも時限爆弾に使われている時計だ。
12時ぴったりになると私は爆弾である彼女と一緒に死んでしまう。
畜生!もうどうする事も出来ないのか!
私もまた、諦めかけたその時だ。爆弾処理班が駆けつけ、私と彼女を引き離した。
良かった…私も彼女も助かった。
ん?彼女の様子がおかしいぞ?
爆弾処理班を熱の籠った目で見ている…
私に嫉妬の炎が灯った。だが、彼女と引き離された私では「畜生」と呟く事しか出来なかった。
公開:20/04/08 18:44

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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