溶ける

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とある夜のパーティー。
ボーイの彼は、テーブルにお菓子を並べながら私へと視線を配った。少し焦らしたくて笑顔のままその気のない素振りに徹した私。そしたら私のテーブルから簡単に離れていった。
叶わない身分違いな恋なのに。慣れないことするもんじゃない。キツく締めすぎたコルセットにも、高いヒールにも疲れて、1人ベランダに避難した。
靴を脱いで一息、星を見上げてげんなりしているところに、ボーイの彼がワイングラスを2つ持ってやってきた。慌てて靴に手をやると、その手を止められて白ワインを勧められた。
「見ていてください。」彼は微笑みながらそういうと、スミレの砂糖漬けを白ワインに浮かばせてグラスを少し回した。するとほんのり青が溶ける。ひとくち飲むと花のフレーバー。とても感動していると、彼が「私と一緒にここから抜け出しませんか?」と言って手を差し出した。

握り返すに決まってる。
私も貴方に溶けさせて。
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公開:20/04/06 22:22

夜野 るこ

  夜野 るこ と申します。
(よるの)

皆さんの心に残るようなお話を書くことが目標です。よろしくお願いします。

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