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「ねえ、私の燃料飲んだでしょ!」
「姉ちゃんこそ俺の整備用オイル使ったろ」
「あ、それあたしがお肌のお手入れに使ったわ」
「母ちゃんかよ」
「ママ、俺のパンツ乾いてないんだけど」
「あ、ごめん、温風で乾かしといて」
パパは手首を外すと、腕からの温風でパンツを乾かし始めた。
私たちは博士の作ったヒューマノイド。百年ほど前に滅びた地球の、シェルターの中にいる。
博士は十日前に死んだ。博士も高性能なマシンの体を持っていたけれど、心臓と脳がもう寿命だった。
「もうすぐ他惑星が戦争を仕掛けてくる。降伏して、生き延びなさい」
博士は最期まで私達を心配していた。
施設内にけたたましい警告音が鳴り響く。パパのパンツが宙に舞った。
迎撃システム始動。
逆らってごめんね、博士。私達この地球で一緒に生きていきたい。博士の生んだ家族の絆は何よりも強いのよ。
私たちは戦闘型AI。4人対7億の戦いに余裕で勝利した。
SF
公開:20/04/06 21:05
更新:20/04/06 22:06
〇〇家族

深月凛音( 埼玉県 )

みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
猫ショートショート入選『ミルク』
渋谷ショートショートコンテスト優秀賞『ハチ公、旅に出る』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[節目]入賞『私の母は晴れ女』
ベルモニーPresentsショートショートコンテスト[縁]ベルモニー賞『縁屋―ゆかりや―』

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