時計のつぶやき

僕は鳩時計の鳩に恋したセキセイインコ。人から教えてもらった言葉で毎日彼女に愛を囁く。
でも僕は彼女に見向きもされない。それでも僕は愛を囁く。悪い事なんて三歩歩けば忘れてしまうポジティブ思考。
籠の中の鳥の僕の唯一の楽しみ。僕はいつか、君を振り向かせて見せる。

そう息巻いていたけど、結局出来なかった…
僕は寿命を迎え、その魂が体から離れる。一度でいいから彼女と話をしたかったな…
空へと昇っていく魂となった僕を鳩時計の中から飛び出した彼女が捕まえた。
『これからも私に愛を囁いてくれる？』
暗い暗い鳩時計の中、彼女は僕にそう聞いて来た。
勿論だよ！いつだって僕は君に愛を囁くよ！

「これがウチの鳩時計の声が二重に聞こえるわけさ」
「お婆ちゃん。あの鳩時計、二重どころか三重にも四重にも聞こえるんだけど？」
「ああ、どうやら子供が生まれているようだね。壊れているわけじゃないから安心おし」