凶作の新酒
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台風がやってきた。5月から10月まで毎週1個、列島を縦断していった。作物が壊滅的な被害を受けた。稲も例外ではなく、日本から新米が消えた。
「酒の仕込みができない」杜氏がつぶやく。弟子もうなずいたが、ふと思い出したようにスマホを操作しだした。
「あ、あった。親方、これ、どうですか?」向けられた画面にはレンタルショップが表示されている。
「レンタルショップ?何を借りるんだ」
「米ですよ、米」
「米?そんなものレンタルしてるわけないだろう」
「でも、ショップの説明に、『あらゆるものをお貸しします。お気軽にご相談ください』って書いてありますよ」
1週間後、酒蔵に数百キロのコシヒカリが届いた。事情を話すと、今までレンタルに使っていた米を買い取らせて貰えることになった。
二か月後、酒ができた。試飲をすると、どうもざらざらしている。
「レンタル米だからな、あちこちで使いまわされたのが味に出たか」
「酒の仕込みができない」杜氏がつぶやく。弟子もうなずいたが、ふと思い出したようにスマホを操作しだした。
「あ、あった。親方、これ、どうですか?」向けられた画面にはレンタルショップが表示されている。
「レンタルショップ?何を借りるんだ」
「米ですよ、米」
「米?そんなものレンタルしてるわけないだろう」
「でも、ショップの説明に、『あらゆるものをお貸しします。お気軽にご相談ください』って書いてありますよ」
1週間後、酒蔵に数百キロのコシヒカリが届いた。事情を話すと、今までレンタルに使っていた米を買い取らせて貰えることになった。
二か月後、酒ができた。試飲をすると、どうもざらざらしている。
「レンタル米だからな、あちこちで使いまわされたのが味に出たか」
その他
公開:20/04/06 15:48
スクー
ざらざらな日本酒
レンタルコシヒカリ
文章を書くのが大好きです。
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