時計のつぶやき

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腕時計である私は今怒りに震えている。
主人である男があろうことかレストランに私を忘れて帰ったのだ。普段から私を着けないからこうなる!
空になった皿の隣に並べられた私は主人を見限ると決めた。
おい、そこのお前!私と共に歩まないか?時間の大切さを教えてやるぞ!ん?何だその小さな箱は?スマホ?お前もそいつに夢中か!そんな奴こっちから願い下げだ!
怒りもそのままに私は周りに目を向ける。誰も腕時計をしておらずスマホに夢中だ。
私も時に取り残され不要となったか…落ち込む私を誰かが手に取った。
「すまんすまん。形見であるお前を忘れるなんてプロポーズ成功にかなり浮かれていたようだ」
…そうだ。私の元の主人はもう亡くなっている。今は孫であるこの男が私の主人だった。
ああ、これでは人間が忘れっぽいなどとバカに出来ないな。
私こそすまなかった。これからは共に時を歩んでいこう。
私が君を、君達を見守っていこう。
公開:20/04/07 18:38

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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