似てない家族

　今日は家族が増えた。
　生まれてきた子供たちはとても可愛い。お口が小さくて、目もクリクリしていて、ほっぺたがプックリとしていて。

　でも、素直に喜べない。
　だって、父親のぼくに全然似てないんだもの。　

　いや、これはもう、似ているとか似ていないとか以前の問題。肌の色は黒いし、色々と生えてないし、何もかもぼくと違う！　

「もしかして、浮気したの？」
　妻は取り合ってくれないどころか、ため息をついた。
「赤ちゃんを見るの、初めてなの？　あと2ヶ月もすれば段々似てくるわよ」

　そういうものなの？

　ぼくは不安しかなかったが、子供たちは親の心配をよそに成長していく。
　ずんぐりむっくりの身体は伸び始める。まず後ろ足が生え、次に前足が生えてくる。2ヶ月もすると、確かに、ぼくたち夫婦によく似た、立派な蛙になった。

「ね、家族は自然と似てくるんだから」
　妻はそう言って笑った。