発掘家族
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煙草を吸っていると、ガリッガリッと音がした。見ると、ツルハシを持った親子三人が俺の周りを掘っている。
「出ました。一年間我慢したんですね」
彼らは発掘の旅をしている家族だ。その父親が拳ぐらいの水晶を俺に見せた。
「これは鉱石。あなたが頑張った功績の結晶です」
俺は嬉しくなった。子供が産まれてから禁煙していたが仕事のストレスで我慢できなくなり、それを見た妻に『根性なし』と罵られていたからだ。
三人を家に呼ぶと、彼らは家の中を掘り、今度は桜色の美しい水晶と黒い石を取り出した。
「こちらの水晶は奥様の気持ちです。旦那さんとお子さんの健康の為、わざと憎まれ口を。お強い意思ですね」
「そっちの黒いのは?」
「旦那さんの内に長年放置された奥様への感謝の心です。きちんと磨けばまた昔のように輝きますよ」
俺は煙草を捨て、妻と子供を抱きしめた。ありがとうと言い続けよう。この石と肺が真っ白になるその日まで。
「出ました。一年間我慢したんですね」
彼らは発掘の旅をしている家族だ。その父親が拳ぐらいの水晶を俺に見せた。
「これは鉱石。あなたが頑張った功績の結晶です」
俺は嬉しくなった。子供が産まれてから禁煙していたが仕事のストレスで我慢できなくなり、それを見た妻に『根性なし』と罵られていたからだ。
三人を家に呼ぶと、彼らは家の中を掘り、今度は桜色の美しい水晶と黒い石を取り出した。
「こちらの水晶は奥様の気持ちです。旦那さんとお子さんの健康の為、わざと憎まれ口を。お強い意思ですね」
「そっちの黒いのは?」
「旦那さんの内に長年放置された奥様への感謝の心です。きちんと磨けばまた昔のように輝きますよ」
俺は煙草を捨て、妻と子供を抱きしめた。ありがとうと言い続けよう。この石と肺が真っ白になるその日まで。
その他
公開:20/04/07 13:32
更新:20/04/21 20:58
更新:20/04/21 20:58
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