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ぼくはマトリョーシカがこわい。
それはおばあちゃんの部屋の奥にあって、ぼくはずっと、ボーリングのピンだと思っていた。
ある日、おばあちゃんの部屋へ行ったら、おばあちゃんは部屋の奥を見て布団にペタンと座っていた。
「おばあちゃん?」
って呼んだら、おばあちゃんの腰から上だけがグルンって回転して、「タックン。こっちへおいで」って言いながら、コロンって布団に転がった。
「あらあら。タックン。そのマトリョーシカをとっておくれ」
「マトリョーシカってなに?」
ぼくは、泣きそうになりながら聞いた。
「そのボーリングのピンみたいなお人形だよぉ」
ぼくは、無理だった。そのあとママの声を聞いたような気がする。
その夜、おばあちゃんはいままで通りだったけど、でも少し小さくなってたと思う。それと、マトリョーシカっていうのも、少し小さくなった気がする。
だからぼくは、マトリョーシカがこわいんだ。
それはおばあちゃんの部屋の奥にあって、ぼくはずっと、ボーリングのピンだと思っていた。
ある日、おばあちゃんの部屋へ行ったら、おばあちゃんは部屋の奥を見て布団にペタンと座っていた。
「おばあちゃん?」
って呼んだら、おばあちゃんの腰から上だけがグルンって回転して、「タックン。こっちへおいで」って言いながら、コロンって布団に転がった。
「あらあら。タックン。そのマトリョーシカをとっておくれ」
「マトリョーシカってなに?」
ぼくは、泣きそうになりながら聞いた。
「そのボーリングのピンみたいなお人形だよぉ」
ぼくは、無理だった。そのあとママの声を聞いたような気がする。
その夜、おばあちゃんはいままで通りだったけど、でも少し小さくなってたと思う。それと、マトリョーシカっていうのも、少し小さくなった気がする。
だからぼくは、マトリョーシカがこわいんだ。
その他
公開:20/04/07 11:18
こわいわけ
星新一さんのようにかっちりと書く素養に乏しく、
川端康成さんの「掌の小説」のように書ければと思うので、
ショートショートとはズレているのかもしれないです。
オチ、どんでん返し、胸のすく結末。はありません。
400文字、おつきあいいただければ幸いです。
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