家族

「私と家族になって下さい」
「嫌です」

「私と裸族になって下さい」
「恥ずかしいから嫌です」

「私と貴族になって下さい」
「面倒だから嫌です」

「私と暴走族になって下さい」
「警察に目を付けられるから嫌です」

「私と暴走家族になって下さい」
「何それっ？」
「暴走家族にご興味がおありですか？」
「話だけなら聞いてあげるわ」
「昔々、ある所に二人の男女がいました。その男女は恋人関係だったのですが、あまりにも常識を知らないので、プロポーズはおろか、手も握ったことがありませんでした」
「ねえ、プロポーズって何？」
「ポーズのプロだよ。分かりやすく言うとモデルの事だね」
「私の友人が言うには恋人同士なら手を握るのは当たり前らしいわよ」
「ああ、お互いの利害が一致したからだろうね。同盟関係にある者は誰だって手を結ぶさ」
「そうなの」
「ああ、だから、共通の敵がいなくなれば同盟は自然消滅する」