日没屋台
9
4
夜。ある屋台が、おでんのつゆの発光する光だけで、営業している。ひとりの男が、ふらり。
「この光、なんだか懐かしい。思わず寄っちゃった。仕事が終わって、とても疲れているのかも」
見ると、光源は、つゆではなかった。水面に出ている具の一角、おでん種のひとつひとつが光っている。ひとつひとつが、まるで日没を迎える夕日。その光を受けた水面が、眩しく橙色に反射していた。
「大将のおまかせで」
店主が、赤とんぼ柄の菜箸で、具を選ぶ。
「夕焼けって、なんだか寂しい…。実は私、さっき、廃業してきたところなんです。私、日没しちゃいました」
男は、ふと所持金が心配になり、財布を確認した。その時、たまった名刺の一枚が、緑・眩しく光った。
「お客さん!それ、グリーンフラッシュ」
「え?」
名刺を見返す。私は、お先、真っ暗ではないのか?
グリーンフラッシュは、見通し良い場所にいる人にしか、見る事ができない日の入りだ。
「この光、なんだか懐かしい。思わず寄っちゃった。仕事が終わって、とても疲れているのかも」
見ると、光源は、つゆではなかった。水面に出ている具の一角、おでん種のひとつひとつが光っている。ひとつひとつが、まるで日没を迎える夕日。その光を受けた水面が、眩しく橙色に反射していた。
「大将のおまかせで」
店主が、赤とんぼ柄の菜箸で、具を選ぶ。
「夕焼けって、なんだか寂しい…。実は私、さっき、廃業してきたところなんです。私、日没しちゃいました」
男は、ふと所持金が心配になり、財布を確認した。その時、たまった名刺の一枚が、緑・眩しく光った。
「お客さん!それ、グリーンフラッシュ」
「え?」
名刺を見返す。私は、お先、真っ暗ではないのか?
グリーンフラッシュは、見通し良い場所にいる人にしか、見る事ができない日の入りだ。
ファンタジー
公開:20/04/07 06:32
更新:20/04/20 15:38
更新:20/04/20 15:38
スクー
夕焼けおでん
よろしくお願いします。
note「久保田正毅」でも、ショートショートをシェアしています。
ログインするとコメントを投稿できます