物が消える教室

女子大のまわりには、頻繁にキャットコールをしてくる男たちがいた。友達は一度はその被害にあっていたが、ミコトは出会ったことがなかった。

小紅珍和女子大学に入り、ミコトは鍵付きロッカーを学校で初めて使った。
小学校では、工作で使う空になった洗剤の容器、中学校では赤いがま口の財布とそのなかにあった900円、高校の時には体育の時に外した淡水パール十字架ネックレスを盗まれた。
鍵付きロッカーがあれば普通に防げたことだが、なぜか犯罪がない前提の教室。
精神論をとき、具体的な対策をしない伝統があった。

大学でもミコトは小さなカバンから、二万円の入ったハンティングワールドのお財布を落とした。
財布はトイレのゴミ箱に捨ててあったのを、学校の人が見つけてくれた。お金はなかった。

ミコトは学校の掲示板に、チラシを貼った。サイフの写真と犯人の情報提供を求めた。