大爆笑家族

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「母ちゃん、ただいまー!」
「おかえり。ってこら! すぐ遊びに行こうとするんじゃないの!」
「母ちゃん、ただいまー!」
「おかえり。ちゃんと手を洗…こらー! 靴を脱ぎなさい、靴を!」
「母ちゃん、ただいまー! 汚え顔だなー」
「お前は母ちゃんに瓜二つなんだから、そう言う事を言うんじゃないの!」
「かーちゃん、またいだー!」
「母ちゃんをまたぐんじゃない! お前はね、兄ちゃん達と違って頭が悪……、話を聞け!」

無人の古い家に今日も影が揺らめき、賑やかな声が聞こえる。
それは記憶。思い出。過ぎ去った過去。

「母ちゃん…!」

影が、否、一人の老人が嗄れた声を上げた。

途端、記憶の中の賑わいは成りを潜める。

「母ちゃん……」

泣き虫は変わらないねぇ。お前は長男なんだから、あたし達が居なくてもしっかりしなきゃいけない。弟はあたしが見るから大丈夫。

懐かしい手が、老人の頭を優しく撫でた。
ホラー
公開:20/04/05 08:09
更新:20/04/05 08:35

右左上左右右

アイコンは壬生野サルさんに描いて頂きました。ありがたや、ありがたや。

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