シャボン玉旅行

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人間ひとりを包み込めるほど大きなシャボン玉の中で、桜舞う風に吹かれながらふわふわ空を浮いている。
特殊な石鹸と糊が開発されて、どれだけ高度が上がっても割れないシャボン玉が出来上がった。
石鹸と糊、水の分量を調整することで、あらゆる重量にも耐えられるし、シャボン玉の中に包み込まれても空気不足にならない。そして、ある程度の高さまで上がると次第に降下して着地点で割れる構造になっている。
透明なシャボン玉の中から下界を見下ろすと爽快な気分になれて、まるで自分が鳥と同じように飛んでいると感じられる。
これまで多くの人たちがシャボン玉で冒険に出ていて、雲海の中を水泡のようにぷかぷか浮いたり、ジェット気流に乗って世界一周したり、大気圏まで往復した猛者もいる。
ただ、シャボン玉旅行を終えた数日間は、地上にいるにもかかわらず身体が宙に浮いたような感覚が残ってしまい、頭の中も上の空になってしまうのが玉に瑕だ。
その他
公開:20/04/05 06:55
シャボン玉 石鹸 雲海 ジェット気流 大気圏 上の空

山田衆三( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育ち、大学時代は京都(御所の近く)、大学院時代は湘南(海ではなく山側)で過ごす。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年06月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。

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