アライグマ家族

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何でも洗い流すというアライグマの家族が水辺近くの森林に住んでいました。
ある日、旅人の男が森林の中に迷い込みました。突然にわか雨が降ってきたので、近くにあった木の洞で雨宿りをすることにしました。
「誰かいるのかい?」
アライグマの親子が出てきました。
この木の洞にアライグマの家族が住んでいたのです。
不思議なことに人間と会話することができるアライグマでした。
しゃべるアライグマに男が驚いていると、アライグマのお母さんが「何か洗い物はないの?」と尋ねてきました。
男は、いろいろ人生に悩みごとがあって旅に出たことを話し、心の洗濯をしているとアライグマのお父さんに告げました。
アライグマのお父さんは、悩みごとも含めてあなたの人生だから、私がそれを洗い流すことは良くないと返答しました。
すると雨が止み、青空が顔を出し始めました。
男は、すっきりした気持ちで木の洞を後にし、旅を続けたということです。
ファンタジー
公開:20/04/05 15:46
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SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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