無限クローゼットのはじまり

「ホームレス」
古びたコーデュロイのズボン、コートを着ていた。朝礼の後、ミコトの後ろから男子生徒の小声がした。

高校生のミコトはおしゃれしたかったが、自分で稼ごうにもすぐにバイトはクビになっていたのでお金はなかった。

図書館員のマヤさんに相談したら、ハンドメイドアクセサリーの本を紹介してくれたので簡単なネックレスを作ってみた。これ一つでシンプルな服がいい感じに見えた。小物を変えればなんとかそれなりに見える。ビーズ刺繍をしてブローチを作ったり、ガラスボタンとアンティークレースでコームを作ったりした。

ハンドメイドをたまにするようになったら、どうしても材料があまる。

ミコトはマヤさんに頼み、余った材料や、必要な道具を図書館の手芸本の近くにおいてもらった。きた人はそこですぐ手作りができるというわけだ。

利用した人は好きなだけカンパしてもらうため、募金箱を置いた。