遠赤家族

私の薬指は温かい。
彼がくれたファミリウムの指輪。人の発する、固有遠赤外線を蓄積出来る。私には彼の、彼には私の。交換した熱がじんわり伝わる。目には見えないけど、付けてると彼を感じる。身体の中からポカポカして元気になる、大切な家族の温もり。

赤外線にも相性があるみたい。初めて手を繋いだ時、びっくりするくらい温かかった。思わず引っ込めたら『……ゴメン』って慌てて謝られて、顔が熱くなった。
クリスマスの公園でアイスを食べて、『何か暑いね』って、真っ赤な顔を見合わせて笑った。本当に、目に見えない赤い糸だった。


もうじき、目に見える赤い輪になる。
先に気付いたのが、彼だったのはシャクだけど。２回目のクリスマス、『２人分だね』って、汗だくの顔で笑った。赤外線通信？それとも赤外線通心？手を重ねたら、熱と一緒に３人分のドキドキが伝わった。

――０歳のキミに会える。
今年の夏は、うんと熱くなりそう。