時計のつぶやき

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父の仕事の都合で私はこの春、東京に引っ越す事になった。
そんな私の心残りは隣に住む幼馴染の隆の事。隆は寝坊助で私が毎朝起こしに行かないと絶対に遅刻してしまう。
だから私は隆に目覚まし時計をプレゼントした。ただの目覚まし時計じゃない。私の声を録音した目覚まし時計だ。
これで私がいなくても寝坊する事はないぞ!
そう言って渡した目覚まし時計を隆は1日と待たずに私につき返してきた。
「こんなものなくても俺は大丈夫だ。余計な真似すんな」
その一言で喧嘩に発展した。
そして私達は仲直りする事なく、別れの日を迎えた。
『隆の事、ずっと好きでした』
そう吹き込んであるメッセージを消そうと目覚ましの録音を確認する。
『俺、卒業したら東京行くから!その時は俺と付き合ってくれ!』
隆の大声が吹き込まれていた。
…うん。私、待ってる。
私は目覚まし時計をもう一つ購入するとそう呟くように吹き込んで隆に改めて渡した。
青春
公開:20/04/02 18:40

幸運な野良猫

元・パンスト和尚。2019年7月9日。試しに名前変更。
元・魔法動物フィジカルパンダ。2020年3月21日。話の流れで名前変更。
元・どんぐり三等兵。2021年2月22日。猫の日にちなんで名前変更。

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