むかしがたり

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「まあた、じじの昔話が始まった」

村の若い衆が、その話はもう飽きたという顔ながら、それでも老人の語りを聞いているふりをして、車座で酒を酌み交わしている。

その頃、城では新しい殿様がやってきたということで国替えの宴が催されていた。好奇心旺盛な若い君主は家老のじいやに尋ねる。

「して、あの噂は本当かの? お山の神様が大暴れしたというのは」

「はあ、なにぶんこの爺の生まれる前のことゆえ、文献に記録がございますが、真偽の程は……」

「それでは遠駆けのついでに見聞して参ろうかの。ちと悪戯もしてみるか」

バカ殿が山に行き、巨大な石像の額にある大きな穴に発破を仕掛けたのは3日後のことであった。

翌日、一天にわかにかき曇り、ものすごい嵐とともに雷鳴が轟き、巨大な竜巻が城を襲った。木っ端微塵だった。瓦礫の山と化したその光景を観ながらじじがつぶやいた。

「おやまの魔神さまのたたりじゃ」
ファンタジー
公開:20/04/03 19:00
325 大魔神 愚かさは繰り返される 昔話の真偽は

武蔵の国のオオカミ( ここ、ツイッタランド、タイッツー )

武蔵の国の辺境に棲息する“ひとでなし”のオオカミです。

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