パートナー

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玄関から、彼女の疲れきった"ただいま"が聞こえてきた。僕は、彼女の顔を覗きこもうとした。すると、彼女は突然ガクっと膝を落として、持っていたハンドバッグから何かを取り出す。
ハサミだ。彼女はその刃先を、自分の手首へ向けるのだ。
何が起こっているのか、わからなかった。でも、迷わなかった。
僕はすかさず、彼女の手首へ覆い被さり、刃を制する。
彼女は僕の突然の行動に驚いたのか、しばらく硬直していた。
僕はもう一度、彼女の顔を覗きこむ。涙でいっぱいの瞳。ゆがむ口元。
そして、何かの糸が切れたように、僕の身体をぎゅっと抱き締める。僕は、彼女の泣き声を、静かに聞いていた。
僕があなたにできることは、せいぜいこんなことくらいかもしれない。それでも僕は、
あなたの飼い猫として
パートナーとして
ここにいる。
その他
公開:20/04/02 23:08

つち

こんにちはwただいま趣味を迷走中  三(´Д`)の30代男です。
小説が書けるようになりたいです。思いつけばちょこちょこと投稿していくことを、今の目標にします。
何卒よろしくお願いいたします( ´∀`)
 

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