鈴花

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 男は録画した映像を再生する。テレビに鈴花の開発者の記者会見が映る。
「遺伝子操作によって生まれたこの花を私は鈴花と名付けました。花弁を振ってみると、鈴のようにチリンチリンという美しい音色が鳴り響きます。しかも、四月に植えればきっかり60日で花を咲かせるので、計画的な育成も可能です」
 美しい澄んだ音色がテレビから聞こえてくる。それを聞いて泥棒はほくそ笑んだ。
 六月末の本日、男の家の庭にて、鈴花200輪が一斉に開花の時を迎える。開発者の金庫から全ての種を奪ったので、現存する鈴花はこの庭にあるもののみ。売ることができれば途方もない金額が手に入るはずだった。
「さあ開花の時間だ。俺に祝音を聞かせてくれ!」
 200個の鈴花は一斉に開花し音を放った。想像を絶する爆音が男の耳を襲う。しかも共鳴し合うために鳴り止むことがない。
 轟音を延々と聞き続けた男は、とうとう発狂してしまうのであった。
ファンタジー
公開:20/04/02 20:43

ゆぅる( 東京 )

お立ち寄りありがとうございます。ショートショート初心者です。
拙いなりに文章の面白さを追求していきたいと思って日々研究しています。
よろしくお願いします!

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