ファミレス家族

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老若男女問わず家族で外食を楽しめる団欒の場がファミリーレストランだ。
確かにそれで間違ってはいないが、二〇五〇年の日本では、少子高齢化によってファミリーレストランの役割は大きく変わる。
ある年配の女性は先立った夫と、また、ある子供のいない夫婦が息子や娘と食事を楽しむために訪れる。
未来のファミリーレストランは、VRの技術進歩によって、仮想現実の家族とともに食事ができるのだ。
あらかじめ一緒に食事をしたい人物の情報をレストラン側に提供しておけば、AIがうまくアレンジしてくれる。
そんなファミリーレストラン業界も過当競争となっており、食事にもとことん拘る。
ある年配の男性は、亡き妻の手料理を食べたいと、そのメニューや味付けをレストラン側に伝えておけば、料理人のロボットが忠実に再現してくれる。
未来のファミリーレストランは、その名のとおり、食事を通じて家族そのものを提供する場となっている。
SF
公開:20/04/02 20:34
更新:20/04/04 08:43
家族 ファミリーレストラン 二〇五〇年 少子高齢化 夫婦 息子 VR AI ロボット

SHUZO( 東京 )

1975年奈良県生駒市生まれ。奈良市で育つ。同志社大学経済学部卒業、慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修了。
田丸雅智先生の作品に衝撃を受け、通勤中や休日などで創作活動に励む。
『ショートショートガーデン』で初めて自作「ネコカー」(2019年6月13日)を発表。
読んでくださった方の琴線に触れるような作品を紡ぎだすことが目標。
2022年3月26日に東京・駒場の日本近代文学館で行われた『ショートショート朗読ライブ』にて自作「寝溜め袋」「仕掛け絵本」「大輪の虹列車」が採用される。

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