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深夜、お風呂に入ろうとしていたら、夫が起きてきた。
「あら、トイレ? 私、お風呂に入ってくるわね」
「ああ、いってらっしゃい」
洗面所で服を脱ぐ。鏡に映った私の白い身体。
もうすっかり歳を取ってしまった。アラフォー、子供なし。夫に抱かれなくなった私の日々の悦びはこのお風呂タイム。
鼻腔をくすぐる甘い香り。私の体を紅薔薇色に染める、その熱と優しい愛撫。赤い波は私の皮膚を震わせて「ひとつになろう」と囁く。苦おしい程の柔らかな抱擁。
ああ、愛するあなたの、手、が。
身も心も沈んでゆくのがわかる。
目の前が真っ赤に染まり、やがて私は深い闇の中へとおちていった。
木造二階建ての古いアパートの前に何台ものパトカーが集まっている。
「通報したのはご主人で間違いないんですね」
「ああ、そうだよ。俺が殺してやった。あの酔っ払いが、毎日ワイン風呂なんかで贅沢しやがって。ワインで溺れて死ねて、本望だろ」
「あら、トイレ? 私、お風呂に入ってくるわね」
「ああ、いってらっしゃい」
洗面所で服を脱ぐ。鏡に映った私の白い身体。
もうすっかり歳を取ってしまった。アラフォー、子供なし。夫に抱かれなくなった私の日々の悦びはこのお風呂タイム。
鼻腔をくすぐる甘い香り。私の体を紅薔薇色に染める、その熱と優しい愛撫。赤い波は私の皮膚を震わせて「ひとつになろう」と囁く。苦おしい程の柔らかな抱擁。
ああ、愛するあなたの、手、が。
身も心も沈んでゆくのがわかる。
目の前が真っ赤に染まり、やがて私は深い闇の中へとおちていった。
木造二階建ての古いアパートの前に何台ものパトカーが集まっている。
「通報したのはご主人で間違いないんですね」
「ああ、そうだよ。俺が殺してやった。あの酔っ払いが、毎日ワイン風呂なんかで贅沢しやがって。ワインで溺れて死ねて、本望だろ」
その他
公開:20/04/01 14:24
更新:20/04/05 20:43
更新:20/04/05 20:43
みづき りんねと読みます。
創作が大好きな主婦です。ショートショート小説を書くのがとても楽しくて好き。色々なジャンルの作品を書いていきたいなと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
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