14
12
事件は息子の一歳の誕生日に起きた。
ケーキをテーブルに置いて、照明を消した隙にイチゴが一つ消えていたのだ。皿を用意していた妻に犯行は不可能。とすれば容疑者はただ一人…。
「犯人はお前だ!」
息子はキョトンと僕を見た。
「とぼけても無駄だ。モゴモゴと動く口から垂れる赤い汁と、指先に付着した生クリームが何よりの証拠!」
「待って!」
妻が息子をかばった。
「この子は何も悪くない。食いしんぼに育てた私の責任よ」
妻の真剣な表情に息を呑む。
僕の推理は間違っていた。
「違うよ。君は悪くない。こいつはまだ一歳になったばかり。意図的な犯行ではなく本能によるもの。つまり僕の責任だよ」
「どうして!?」
「僕の食い意地の悪さが遺伝したんだ」
「食い意地なら私の父も酷かったわ」
「じゃあ誰のせいなんだ」
「それをハッキリさせなきゃ第二、第三の犯行が…」
ハッとしてケーキを見る。
イチゴがもう一つ消えていた。
ケーキをテーブルに置いて、照明を消した隙にイチゴが一つ消えていたのだ。皿を用意していた妻に犯行は不可能。とすれば容疑者はただ一人…。
「犯人はお前だ!」
息子はキョトンと僕を見た。
「とぼけても無駄だ。モゴモゴと動く口から垂れる赤い汁と、指先に付着した生クリームが何よりの証拠!」
「待って!」
妻が息子をかばった。
「この子は何も悪くない。食いしんぼに育てた私の責任よ」
妻の真剣な表情に息を呑む。
僕の推理は間違っていた。
「違うよ。君は悪くない。こいつはまだ一歳になったばかり。意図的な犯行ではなく本能によるもの。つまり僕の責任だよ」
「どうして!?」
「僕の食い意地の悪さが遺伝したんだ」
「食い意地なら私の父も酷かったわ」
「じゃあ誰のせいなんだ」
「それをハッキリさせなきゃ第二、第三の犯行が…」
ハッとしてケーキを見る。
イチゴがもう一つ消えていた。
その他
公開:20/04/01 23:12
月の音色リスナーです。
ようやく300作に到達しました。ここまで続けられたのは、田丸先生と、大原さやかさんと、ここで出会えた皆さんのおかげです。月の文学館は通算24回採用。これからも楽しいお話を作っていきます。皆さんよろしくお願いします。
ログインするとコメントを投稿できます