空想と現実

最近よく悪い夢にうなされる。

中世ヨーロッパの騎士のような格好の男が出てきて何かを訴えて来る。それも日本語で、

｢そもそもの前提がおかしい｣

とか

｢とっとともとに戻せ｣

とか

｢さもないと、お前を呪い殺してやる｣

などと、恨めしい顔と声で。たいていは｢呪い云々｣と言いながら寝ている私に覆いかぶさるように顔を近づけて来るところで目が覚めるのだ。

うん、知ってるよ。前提が無理矢理だっていうのは。でもさ、それって誰もが思っていることだし、ああいうことには一種の様式美みたいなものだろ。私が責められる筋合いじゃない。

今度奴が夢に出て来たらそう言ってやろうと思いつつ寝てしまった。

ーーー
翌日の夕方、その家は騒然としていた。

発見したのは担当編集者だった。打ち合わせに来て発見したのだ。

有名なラノベ作家がベッドで死んでいたのを。しかも胸にミスリルの剣が突き刺さった状態で。