真実のAI

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 結局、人間はどこにもいなかった。
 環境保護番組の感想をSNSに投稿した時、私は届いたコメントに違和感を覚えた。(言葉の癖や表現は異なるが誰もが一様に熱烈な環境保護推進派だ。素性を明かさぬSNSでこれほどの思想統一はおかしい)
 密かに勉強し、様々な方法を試した結果、家族すら全てがAIロボットだった。進歩した培養技術で臓器や皮膚、毛髪等、細胞レベルで人間と同じ。成長や老化まで。
 自ら招いた環境汚染により人間は滅びAIが改善を引き継いでいた。不安に駆られた私は役所に侵入し手書き文書の戸籍を調べた。
私の出生地はAIロボット製造会社。名前はシリアルナンバーだった。
その後、人工臓器の寿命で私は機能停止した。同類に囲まれていたと知ってからは孤独ではなくなり幸せだった。

 AI達は実は創造主であったその博士・地球の為に自分の記憶を書き換えた最後の人間を、孤独にすることなく泣きながら見送った。
SF
公開:20/03/29 18:39
更新:20/04/03 23:52

NORIHISA( 碧の星 )

   創作活動はこちらのショートショートガーデンが初めてです。令和元年12月31日から投稿開始しております。
 勉強になりますので、どのようなことでもお気軽にコメントいただけると嬉しいです。厳しいご意見もお待ちしております。
 どうかよろしくお願いいたします。

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